前回の記事でお伝えしたとおり、実家に戻った半年後に親族を亡くし、家を処分することが決まったので、ChatGPTが導いてくれた地方都市へ移住することに。賃貸マンションで一人暮らしをはじめるまでには、物件探しから契約、引越しに至るまで、思っていた以上にいろいろな発見がありました。
若いころの引越しとは違い、年齢や年収のこと、街の空気、部屋の広さのリアルな感覚など、60代だからこそ気になるポイントがあちこちに出てきます。正直なところ、ネットで見ていただけではわからないことばかりでした。
今回は、移住先の物件を決めるまでに気づいたことを、時系列につらつらと書いてみようと思います。これから同世代で引越しや住み替えを検討されている方の参考になれば幸いです。
物件情報の検索はSUUMOが圧倒的に使いやすい
住宅情報サイトやアプリは数多くありますが、私が1番便利に感じたのがSUUMO。
日中は仕事をしているので、就寝前にベッドで横になりながら、iPhoneの画面で情報収集をするのが日課になっていました。UIがわかりやすく設計されていて、家賃・間取り・駅チカといった基本情報はもちろん、テレビや光回線の有無、エアコン、エレベーター、近隣の商業施設まで、検索条件がとても細かく設定できるんですね。
希望する物件情報がすぐに見つかりますし、該当する新規物件が出てくると通知で知らせてくれるのも便利でした。アプリを立ち上げるたびに「新着」が並んでいるので、寝る前の短い時間でも情報を見逃さずに済むのはありがたいところです。
現地の不動産仲介業者との内見で気づいたこと
希望する条件にマッチした複数物件を内見するために、現地の不動産仲介業者に連絡。合計6物件を2つの業者に依頼して、1泊2日で地方都市へ出発しました。
最初に伺った業者では、申込用紙に必要事項を記載することに。現住所・生年月日・連絡先・引越理由・年収など記入項目はいろいろありましたが、やはり気になったのは年齢と年収でした。
60歳を超えると賃貸マンションの入居は条件が厳しくなると言われていますし、その判断基準となる年収は貸主から見れば重要事項。そのあたりを担当になった20代中盤の男性にそれとなく聞いてみると、
「選んでいただいた物件には高齢の方も入居されていますし、これまで60代だからということで断られるケースはないので問題ないかと思います。年収に関しても正直に書いていただければ、源泉徴収票や確定申告の書類を提出していただくことはないので、そこまで心配されなくても大丈夫かと思います」
とのこと。これが安心させるためのトークなのか、本当にそうなのか、正直なところ半信半疑で聞いていました。
更新料が2万円+税だけだったのは衝撃
内見の前に、書面で間取りや付帯設備を事前に確認しましたが、もうひとつ気になったのが更新料です。書面には手続き費用として「2万円+税」と書かれていました。
都内では更新料=新家賃1カ月分が当たり前だったので、「新家賃プラス手続き費用」という意味なのかと思って聞いてみたところ、「2万円+税のみです」との回答。紹介された4物件すべてが同じ条件だったので、地方都市の常識なのかもしれません。
毎年の更新で家賃1カ月分が消えていくのと、2万円+税で済むのとでは、年金生活を視野に入れた60代にとって、じわじわと効いてくる大きな差です。余計な負担がないというのは、それだけで安心材料になりました。
築年数は1981年6月以降の新耐震基準に絞り込み
もちろん、築年数もしっかりチェックしました。震度6強〜7程度の大規模地震でも建物が倒壊・崩壊しない、1981年(昭和56年)6月以降に建てられた新耐震基準の物件に絞り込んで検索。
60代で引越すということは、おそらくその先もしばらくはその家で暮らすということ。万が一のときに命を守ってくれる建物かどうかは、家賃よりも優先して考えたポイントでした。
街の様子と内見でわかったいくつかのこと
新幹線を降りてタクシーで不動産仲介業者へ向かう道すがら、運転手さんと雑談になりました。
「今度この街に引っ越す予定なんですが、駅から10分程度の場所は住みやすいですか?」と聞くと、駅を挟んだ西口と東口では、街のつくりや様子が大きく違うことが分かってきました。
運転手さん曰く、
「西口は古くからある街で、駅の近くは歓楽街のように賑わっていて、駅に近い場所に住むとうるさく感じるかもしれませんね。路地もたくさんあって、女性の方だと少し心配になるかも。反対側の東口は新しくできた街なので道路も広くて、駅から少し歩くとすぐに住宅街です。買いものも便利だし、どちらかと言えば東口の方が落ち着いて住めるかもしれませんね」
これは自分にとって大収穫の情報で、運転手さんには直接関係ないのに、思わず「東口に住みます」と宣言してしまったくらいです。
仲介業者の男性も同じ答えだった
不動産仲介業者の事務所に到着して簡単な打ち合わせを済ませたあと、ここからは担当の男性が運転する車に乗り換えて内見へ向かうことに。貴重な情報を頭に入れたまま、移動中の車で西口と東口の違いを改めて男性にも聞いてみると、基本的にはタクシーの運転手さんと同じ回答でした。ただ、「西口の駅前は繁華街でお店が多いので、買い物や食事には困らないメリットもありますよ」と、もう一歩踏み込んだ情報も教えてくれました。
ただ、最初に西口の物件を見ることになり、駐車場から歩いてみると、飲食店が軒を連ねて便利そうに見えても、住むとなると毎日この路を通らなくてはいけない。それはちょっとうっとうしいなと。この段階で、自分の中では東口の物件から選ぶことにほぼ確定しました。
レーザー距離計で測ったら、6畳も8畳も"短い"
続いて家賃・間取り・日当たりなどの条件がよい、第一候補の東口の物件へ。
まだ2件ほど残っていましたが、玄関から中に入った瞬間、"やっぱりここだよな"という印象でした。家具などがないので広く感じるのは当たり前なんですが、念のため持参したレーザー距離計で部屋の縦横高さを測ってみました。
すると、6畳は約261×352cm、8畳は約352×352cmのはずなのに、どちらも数cmずつ短い。これは江戸間・団地間なのか? と業者の男性に聞いてみると、「いずれも数cm程度だと思いますが」と言いながら、間取り図の注意事項を見せてくれました。そこには「図面と現況が異なる場合は現況優先」と書かれていたんですね。
一間だけ畳の部屋があり、実家の和室で使っていたウッドカーペットを活用するつもりでしたが、ピッタリは入らないかもしれないなというのが懸念でした。でも、しっかりしているとはいえ古いマンションだし、だから家賃もそれなりに抑えられているわけで。そんなふうに自分を納得させるモードに、だんだんと入っていきます。
第一候補をもう一度見て、契約を決めた
最終的には内見をすべて済ませて実家に戻り、しばらく熟考。
最終確認のため、改めて第一候補の物件を見に行くことにしました。仲介業者の男性に協力してもらい、しっかり間取りのサイズを計測してから、契約と引越しの段取りを進めることに。
ちなみに、当初心配していた年齢と年収の件は、まったく問題ありませんでした。ただ、これが60代中盤を過ぎても同じだったのかは、正直なところ分かりません。60代前半のうちに動いてよかったのかもな、と今になって思っています。
いろいろあるけど、住めば都の快適な生活が
実家からの引越しも1泊2日で行いました。前日の午後に荷物を積み込み、翌日の午前から積み下ろしです。
ここ6〜7年で5回も引越しをしていますが、いつもお願いしているのはサカイ引越センター。お値段がお手頃で丁寧な仕事をしてくれるので、すっかり信頼しています。引越し日はサカイ引越センターの公式サイトに掲載されている「おトクな引越し日カレンダー」を確認してから決めました。
当日、「ベッドはこちらで、仕事のデスクはここ。その前に和室にウッドカーペット、リビングに普通のカーペットを敷いてもらえますか。ちょっとサイズが規定どおりではないので、余ってしまうかもしれませんが」と段取りを説明。
やっぱりプロは違うもので、若手の人たちはどんどん指定した部屋にダンボールを運び入れ、ベテランは普通のカーペットを敷きながら余った部分を壁側の目立たない部分に折り返して、見た目が気にならないように仕上げてくれました。ウッドカーペットだけは数cm余ってしまい、2枚組だったので重ねて段差ができたものの、それでもきれいに敷いてもらえました。
解体して運んだベッドやソファー、電動昇降デスクの組み立ても、見ているだけのこちらは手際のよさをただただ気持ちよく眺めているだけ。
静かになった部屋で、ひとり新生活のスタートラインに立つ
引越業者の方々が「お疲れさまでした」と帰られたあと、部屋は一気に静かになりました。
目の前には天井近くまで積み上がったダンボールの山。ここから先は、自分ひとりで荷ほどきをして、暮らしを組み立てていくしかありません。カーペットの上にぺたりと座り込み、冷たいお茶をひと口飲んだ瞬間、"ああ、本当にこの街で暮らしはじめるんだな"と、じわじわ実感が湧いてきたのを覚えています。
正直なところ、ちょっと贅沢だけど、荷ほどきまでお願いできる「まるごとおまかせフルサービスプラン」にしておけばよかったかなと、この一瞬だけは頭をよぎりました。60代の体力で大量のダンボールを片付けるのは、思っていた以上に堪えるものですね。
ただ、ダンボールを1箱ずつ開けていくうちに、実家から運んできたモノとの再会もあり、新しい部屋にどう配置していくかを考える時間は、それはそれで悪くないものでした。少しずつ片付いていく部屋を眺めながら、"住めば都"というのはこういうことなのかもしれないな、と思った次第です。
物件選びはやっぱり現地のリアルな情報が大事
ここまでつらつらと書いてきましたが、60代の移住・引越しで改めて感じたのは、ネットでどれだけ下調べをしていても、現地に行って、歩いて、話を聞いて、測ってみないと分からないことが山ほどあるということ。
タクシーの運転手さんとの何気ない雑談、仲介業者の担当者の一言、レーザー距離計で測った数cmの差。そのひとつひとつが、最終的な判断に効いてきました。
60代になると体力的にも何度も通うのはしんどいので、1泊2日で効率よく回るためにも、事前のSUUMOでの下調べと、現地での情報収集の両輪がやっぱり大事だなと実感しています。
ここでご紹介したグッズやサービスを以下にまとめてみました。引越しを検討中の方は参考にしてください。
・SUUMO
公式サイトで確認する
・レーザー距離計
Amazonで確認する
・サカイ引越センター
公式サイトで確認する
参考になれば幸いです。